シリンダーヘッドのオーバーホールに挑戦です。
作業の大きな目的は
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劣化したヘッドガスケットを新品に
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バルブシールの交換(オイル下がりの予防)
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吸排気ポートとバルブに堆積したカーボンを除去し、空気流入量を新車時と同等まで回復
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バルブ擦り合わせを行い、バルブ密着度の確保、圧縮圧保持能力の向上
…の、4つです。
素人整備としては難易度が高めですが、無事に終わるのでしょうか?
まずは、シリンダーヘッドを取り外すため、吸排気関連パーツを外すところからスタートです。
さてこれから、長い長い道のりが始まります。
まずはボンネットを開けて、バッテリー端子を外します。
今のうちなら、まだ引き返すことができます(笑)
エアクリーナを外し、メインハーネスのコネクターを外していきます。
コネクターは、どこに繋がっていたのかをよく記録しておきましょう。
デジカメや荷札、メモなどを活用するとよいです。
そのときは少し面倒だったりするのですが、後でけっこう助けられるものです。
地味な注意点なのですが、これが結構大事だったりします。
束縛から解き放たれたメインハーネス
自由を満喫しているようです。
しかし、今までの熱的疲労蓄積のため、かなりの動脈硬化を起こしていました。
すでに
カプラーの爪部分は、4割ぐらいが欠損しています。
丁寧に作業をしたい場合、ヒートガンを使って暖めてから作業すると折れにくくなるそうです。
シリンダーヘッド端のセンサー部分の映像
同じ大きさのねじ山が多かったので、センサーを外した後に判らなくなってしまわないようにと、撮影しておきました。
撮影データを誤って削除してしまうと、途方にくれることがありますので、くれぐれも注意しましょう。
作業を行いやすくするため、ラジエーターシュラウドと「羽根」を外します。
オルタネーターやチェーンテンショナーガイドピンを外し易くするためです。
プロの場合、必要最小限の部品だけを外して作業が可能ですが、こちらは素人なので、まずは外してみて作業を行いやすくします。
シリンダーヘッドの前に横切っている青や黒のコードは、DIYで取り付けたアーシングケーブルです。
ベルトを外してオルタネーターを外したところです。
すこしエンジンルームがスカスカになってきました。
この102エンジンは直列4気筒SOHCなので、同時期の6気筒等に比較してエンジンルームに「すきま」が多いです。
そのおかげで整備性もよく、私のような素人でも手を入れやすいと感じることができます。
1番シリンダーの横の部分です。オイルが漏れた跡があります。
エキパイを外していないので確認しづらいのですが、4番シリンダー付近(奥の方)が最もひどいようです。
原因はヘッドガスケットの腐食だと思われます。
フューエルライン、インジェクターを外したところです。
ようやくインテークマニホールドやフューエルデスビ、エアフローセンサーが丸裸になってきました。
タペットカバーに繋がっているブローバイパイプですが、取り外しの際に破損してしまいました。
写真では少し判りにくいですが、先端が割れています。
この破損に関しては、やむをえないと思います。
長年に渡り熱に晒された結果、ゴムが完全に硬化してしまっており、外すだけで割れてしまうのです。
ゴムではなくてプラスチックのような固さになっていました。
フューエルデスビとエアフローセンサーを外したところです。
アイドルエアバルブとの連絡パイプがインテークマニホールドの下を通って接続されているのが判ります。
外すときはよいのですが、取り付けるときは結構てこずる部分です。
ただ単にはまっているだけなのですが、手が届きづらい部分にあるからです。
ゴムの硬化が進んでいれば、なおさらはめにくくなります。
ちなみに、
ブローバイホースの方が硬化が進みやすいようです。
シリンダーヘッドのすぐ隣にあり、熱の影響を直接受け易い位置にあるためのようです。
取り外したエアフローセンサーと連絡パイプを裏側(下)から写したところです。
某ディーラー系メカの方の話によると、このパイプは、古いようであれば「交換を推奨」だそうです。
どうしてかと言うと、硬化のためにパイプが外れて落下し、エンジンがかからなくなる事があるそうです
簡単に交換が可能であれば話は別ですが、ばらしついでに交換しておくほうが得策だとのことです。
エアフローセンサー等を取り外した状態です。
ここまでの間でフューエルライン、エア用パイプ、ハーネスのカプラー等、たくさんのパーツを外しました。
ここらで一服しながら、
何がどのように接続されていたのか復習しておくと後で助かります。
(というよりは、この時点で把握ができなければ、元通り組めなくなる恐れがあります。)
スロットルボディを外します。
別に一つ一つ外す必要は無く、インテークマニホールドごと外してもよいのですが、今回は初めての挑戦なので一つづつ外して、それぞれの部品の取り付け状態を確認しています。
上部にバキュームラインが伸びています。
バキュームラインは似たようなラインがいくつもあり、紛らわしいので、しっかりとメモするかタグをつけておきましょう。
(スロットルボディからは2本のバキュームラインが出ていますが、既に一本は取り外した状態で撮影しています。)
写真には写っていませんがリターンスプリングがどのように付いているかも要確認です。
中央の三本足が、インテークマニホールド集合部に接続される三又のバキュームラインです。
取り外した後に判らなくなりそうだったので、ラインだけ接続して撮影しておきました。
よく見るとマニホールドの中が黒褐色に汚れています。
以前、エアフローセンサー内部に噴霧したエンジンコンディショナーのなれの果てです。
エアフローセンサー内部に付着したブローバイの油汚れを除去するために噴霧したのですが、こんなところに溜まっていました。
左に見える先端がかぎ状に曲がった黒いバキュームライン(円で囲んだ部分)は、インテークマニホールド上部に接続されているものです。
正直に言うと、組み上げの際にこの部分の接続を忘れ、ラインを下に落とし込んだ状態のままで、インテークマニホールドとエアフローセンサーまで組みあげてしまいました。
これに気づいたときは、放心してしまい、魂が抜けそうになりましたので、真似はしないほうがよいと思います。
ようやくインテークマニホールドを外すことができました。
取り付けは(シリンダーヘッドとの間では)5本のスタッドボルトと3本の長さの異なるボルトが使われています。
どの穴にどのボルトを通すのか、後でわかるようにと撮影しましたが、実は、この時点ですでに間違って取り付けています。
最も長いボルトが中央上部、2番目に長いボルトが中央下部、最も短いボルトが右端、というのが正解です。
まあ、間違えるとパーツが正しくつきませんので、間違えることはないとは思いますが・・・
スタッドボルトを間違った位置に挿入したりするとやり直しが面倒デス。
4番吸気ポートの横から伸びているのが、シリンダーヘッドで暖まったクーラントをヒーターコアへ導くホースです。
よく見ると、
エンジンオイルが水と混ざり、乳化してムース状になったものが漏れているのが判ります。
漏れている事に関しては、ホースやホースバンド、パッキンなどを交換すればよいのですが、オイルがクーラントに混入してしまうというのは、よくないですね。一体ヘッドガスケットの状態はどこまで腐食しているのでしょうか?
ちなみにクーラントのサブタンクには油分は浮いてはいませんでしたので、重症ではないとは思いますが。
「やばいよ やばいよ …やばいよ やばいよ」
不安を抱える私に、出川哲郎の空耳が聞こえてきました。
(補足)
W124とは異なり、よく言われるところの「エンジンハンガーと一体になったパッキン」というのはありません。この車の場合は別々になっています。
エキゾーストマニホールドを外したところです。 (ロッカーカバーも)
インテークマニホールドと異なり、補記類やケーブルが接続されていないので
「エキマニ」を外すだけで「エキマニ」が外れます(笑)
ただ、この「エキマニ」を外すだけというのも、そんなに簡単には終わりません。
まず、マフラーをずらす必要があるので、車下にもぐって
ダウンパイプの固定ブラケットを外す必要があります。
また、マフラーとエキマニの接続ボルトも車下から緩めるのですが、ステアリング系が邪魔してアクセスがよくありません。
かなり長いエクステンションバーとソケットを組み合わせることでようやく緩めることができました。
エキマニとシリンダーヘッドは9本のスタッドボルトで取り付けられています。
8本ではなくて9本なのです。
4番シリンダーのみスタッドボルトが3本使われています。不思議ですね
最も気を使うのが、ナットの錆び具合です。
エキゾースト関係の
ナットは錆びのため肉痩せしているものもあり、緩めるときは慎重にならざるを得ません。
結局、2つほどなめてしまい、バイスグリップのお世話になりました。
さて、ようやくシリンダーヘッドを外す準備ができました。
大まかに言うと、インテークとエキゾーストのマニホールド、オルタネーターとラジエーターを外したというところです。(厳密に言うとラジエーターは外さなくても大丈夫だと思います)
ここまでの苦労ポイントは…
1. メインハーネスやバキュームライン、ボルト・ナットの取り付け位置を覚えていくのが大変
(一度経験して構造を理解してしまえば、それほどではないのですが・・・なんでも最初は大変です)
2. エキゾーストマニホールドの取り付けナットが、届きにくい場所にある上、錆びており、なめてしまいやすい。
3. プラスチックやゴムの部品が、経年劣化で硬化しており、外すたびに、割れる・折れる・もげる・・・
(補足)
どのパーツを、どの順番で、どこまで外すかについて、上記の手順は決してベストとはいえないと思いますので、参考にされる方はお気をつけください。
今回の作業は初めてだったため、いくぶん手探りでの試行作業に近い感があります。
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