シリンダーヘッド オーバーホール

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シリンダーヘッドのオーバーホール
ついに核心の作業、「バルブのすり合わせ」に入ります。

さて、長い道のりではありましたが、ようやくシリンダーヘッドを降ろす事ができました。

後は、磨こうが削ろうが撫でさすろうが、はたまた抱いて寝ようがこっちのものです。
まさに、「まな板の鯉、外した後のシリンダーヘッド」です。

この後は、「堆積して焼き付いたカーボンの除去・分解清掃」「バルブ擦り合わせ」などに挑戦です。
ポート加工(研磨)燃焼室容量合わせ、などもトライしてみたいですが、今回は見送ることにしました。

これまでは取り外しに四苦八苦してきましたが、ようやくチューニングらしくなってきました。ご覧下さい!



まずは、シリンダーヘッドに手を加える前に、燃焼室の状態をよく確認をしておきましょう。

左が1番、右が2番シリンダーの燃焼室です。

現物の燃焼室自体をさほど見たことが無いので、あまり自信は無いのですが、これを見る限り、カーボンの付着も少なく、まずまずの燃焼状態のように思えます。

ウオータージャケットの中にある「カス」のようなものは、朽ち果てたガスケットのかけらです。

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これは同じく1番と2番のピストンヘッドを見たところです。左が2番、右が1番シリンダーです。

ガスケットをはがしていない状態ですが、ガスケットがクーラントに触れる部分の腐食がひどいことがわかります。

ピストンヘッドの状態ですが、薄く一様に焼きついたデポジットがあります。
デポジットの状態から見る限り、オイルの上がりや下がりの痕跡は感じられません。

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次は、左が3番、右が4番シリンダーです。

各気筒ごとの燃焼具合の差異も少なく、いい状態で燃焼していたようです。

それにしても4番の横あたりのガスケットは腐食が進んでいたらしく、見た目が汚くなっています。

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左が4番、右が3番シリンダーのピストンヘッド側です。

ガスケットの腐食は1番が最も軽く、4番が最もひどいようです。

予想通り、4番シリンダー奥の部分でオイル漏れがおきているようです。
ヘッドの周辺も、漏れたオイルでどろどろに汚れているのが判ります。

今回は、約10万キロを越えたところでエンジンを開けてみたのですが、いいタイミングだったと思います。これ以上放置していては、さまざまな弊害が発生するところでした。

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バルブコンプレッサーを使用してバルブを外していきます。

短調な作業ですが、一つ一つ確実にこなしていくしかありません。

とりあえず感じたのは、「バルブの数が、たった8個でよかった」ということです。
6気筒4バルブの場合、バルブが24個もありますから。とても大変です

ちなみにバルブコンプレッサーは「ストレート」で買いました。高価でない割にはきちんと役目を果たしてくれ、満足しています。

それから現車に装着されていたバルブシールですが、まだ充分に弾力が残っていました。
オイル下がりの兆候は見受けられなかったので、当たり前と言えばそれまでですが、今までよく持っていたと云えるでしょう。



吸気バルブの揃い踏みです。(たった4本ですが・・)

吸気ポートと同様、カーボンがびっしりと付いていました。

「バルブシート当たり面」は、腐食や虫食い等も少なく、綺麗な状態が保たれています。
画像でも当たり面のみが光っているのがわかります。

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吸気バルブの清掃、完了しました。

簡単に清掃と書いてはいますが、なかなかどうして、かなり大変な作業でした

スクレイパーを使ってゴリゴリと削り落とした後に、バルブを電動ドリルに取り付けて回転させた状態を保ち、耐水ペーパーを当てて、カーボン汚れを削り落としました

このバルブに蓄積した汚れは、高温で焼き付いているので、普通の洗剤などでは歯が立ちません
逆に、これをこなした後は、換気扇とか風呂桶の湯垢など、大概の家庭系の汚れは「たいしたことは無い」と、思えるようになります。

ただ、一度でもそれを口にしてしまうと
「じゃあやってよ!」と言われてしまうので、気をつけましょう。
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今度は排気バルブです。

こちらはカーボンというよりはデポジットです。

セラミック並の固さの微粒子が、金属面に固く焼き付いているような状態です。

当たり面の状態も、決して良くはありません、虫食いとまではいきませんが「擦り合わせ」に時間がかかりそうです

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排気バルブも、清掃が完了しました。

同じように磨いたのですが、排気バルブは吸気バルブと違い、ぴかぴかの銀色に仕上がりました。

吸気バルブと排気バルブは、耐熱条件がかなり異なるので、材質から形状までかなり異なるようです。
吸気バルブは底がへこんでいますが、排気バルブは底がまっ平らで肉厚です。おそらく熱対策のナトリウムが封入されているからなのでしょう。

しかし、この排気バルブ磨きは、かなりてこずることとなりました。

ドリルとペーパーで磨いてもほとんど歯が立たず、スクレイパーでこそぎ落とそうとしても、あまりの固さになかなか進みません

結局、バルブにエンジンコンディショナーを噴霧した後に、揮発しないようラップで包んで一日放置し、デポジットが少しゆるくなったところをドリル&ペーパーで削り落としました

それでも簡単には削り落とせませんでしたが、吸気バルブも、初めからこうしていれば、もっと楽に作業できたかもしれません。

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次はヘッド本体の洗浄です。

洗浄の前にスタッドボルトを外しておく事にしました。

ロッカーカバーのスタッドボルトが5本、インテーク側が5本、エキゾースト側が9本。
合計19本・・・です。
さすがにスタッドボルトプーラーまでは持っていないので、すべてダブルナットを使って作業しました

坦々と作業するしかありません。
趣味でやっているので、いくら大変なことをやっても、お金がもらえるわけではありません。
誰が褒めてくれるわけでもありません。

ただ、忍耐です。

この辺りから、好きでやっているのかどうなのか、解らなくなってきました。
はっきりいえることは、「このままでは、車は動かない」ということです。

他に道はありません。やめるわけにもいきません

気持ちを強く持って、次の工程に移りましょう


シリンダーヘッドの洗浄には、サンエスK1という、「どぶ漬け」用洗剤を使用しました。

知る人ぞ知る有名な洗剤?ですが、一般店頭ではなかなか売っていません。
またまたストレートでネット購入しました。

ちなみにメタルクリーンαという商品もありますが、同じ会社の製品です。
二つの商品のどこが違うのかは、よくわかりません。業務用と一般用でしょうか?

今回は大き目の衣装ケースにぬるま湯を張り、サンエスを溶かしてヘッドをどぶ漬けしました。

防錆剤が配合されているので、割と安心して漬けていられます。
大変効果的な洗剤で、あまりごしごしこすらなくても・・・



このぐらい綺麗になります。
見ての通りぴかぴかです。

オイル汚れが染み付いていた金属地肌が光っています。



こちらは燃焼室側です。

かなり薄めの溶液で使用したにもかかわらず、吸気ポートと排気ポートのカーボン以外は、ほとんどの汚れが落ちました。

簡単に綺麗になるというのは、本当にありがたいものです。

ポートの汚れは、この後エンジンコンディショナーを使用して落としました。
画像は、ガスケット面をオイルストーンで研磨した後のものです。

(画像をクリックすると、拡大画像が表示されます)


ヘッドもバルブもきれいになったところで、バルブのすり合せです。

(こんな持ち方でタコ棒を持っていては擦り合わせができませんが、片手はカメラを持っていますので。このような画像で写っています。)

いろいろ調べてみましたが「擦り合わせ」には、諸説?があって、中目で擦り合わせて梨地が出れば良しとするものから、細目で光沢が出るまで擦り合わせるとしているものまで、さまざまです。

光沢が出るまでやってみようと思ったのですが、なかなか光沢が出るには至らず、結局、半光沢程度に仕上げることとなりました。

ちなみに、排気バルブは吸気バルブに比べて状態がよくなかったため、単純比較して2倍程度の手間がかかりました。

おおよそですが吸気バルブ1本に30分から1時間、排気バルブ1本に1時間から2時間ぐらいかかったと思います。
バルブの状態さえよければ手間もかからずに仕上がるのですが、ほんの針先ほどの虫食いでも、修整するにはかなりの時間がかかってしまいます。

2時間で終わらせるか、1日かけるか、それは本人の自由ですが
最後はこの台詞で終わりにしましょう


こ、こ、このくらいで勘弁しといてやるわ!
         ・・・あー、手のひらが痛い



バルブを組みつけていきます。
(画像は、ピンセットでコッターを入れているところ)

きれいに洗浄したパーツを組みつけていくのは、気持ちのいいものです。
もちろんバルブシールも新品を使用します。

バルブシールの吸気、排気を間違えないように、慎重・確実に作業しましょう。


組み付けた後は、プラハンでバルブのお尻を軽く叩き、コッターやあたり面を落ち着かせます



排気側バルブ組み付け完了です。

次は吸気バルブ
この調子でどんどん組んでいきます。



ところかわって、クランクケースのガスケット合わせ面と、ピストンヘッドの清掃です。
最初はあまりの汚さに、どこから手をつけてよいものやら、途方にくれました。
一体きれいになるのでしょうか?

まずは、オイル通路やウオータージャケットにゴミが落ちてしまわないよう、キッチンペーパー等で詰めものをし、スクレイパーで大きな汚れを掻き落とします。

汚れが取れたら、こまめに掃除機で吸い取ります。

ゴミや汚れをオイルや冷却水の経路に落としこむと、あとあと厄介なので慎重に作業です。



あらかた綺麗になったところで、オイルストーンを使い研磨します。

研磨は平面度に影響を及ぼさないよう、あくまでも汚れを取る程度にとどめます。
ピストンヘッドは必要に応じてクランクを廻し、上死点にあわせてから作業するとやりやすいです。

エンジンコンディショナー等を使うと効果的ですが、できるだけ、肌に触れたり吸引しないよう気をつけましょう。私は肌が弱くて軽いアトピーなのですが、状態が悪化してしまい、苦しかったです。



清掃後の「あわせ面」です。

かなり汚れてはいましたが、なんとか綺麗になり、ひと安心です。

オイルやクーラントの通路に汚れを押し込まないように、合わせ面だけをきれいにするのは、結構気を使う作業でした。

車載状態での作業なので、大変さもより一層です。
腰を曲げた状態での作業となりますので、腰痛持ちの方は気をつけてください



さて、シリンダーヘッドのオーバーホールも山場を越えました。

今回の強敵は
 ・バルブに焼きついたデポジット
 ・バルブの擦り合わせ
 ・合わせ面(シリンダー側)とピストンヘッドの清掃
の3つでした。

また、「錆び」にも要注意です。
取り外したエンジン部品は、油分を切らしてしまうとあっという間に錆びてしまいますから注意しましょう。

吸気ポートと排気ポートは、目に付くような大きな段差が無かったために、カーボンを落としただけにして、手は加えませんでした。

燃焼室容量に関しても、各気筒ごとの容量を厳密に合わせたとしても、驚くような効果は得られにくいだろうという判断で、こちらも手をつけていません。
(一気筒あたりの容量が、約500ccと大きめのためです。)

バルブの内径外径合わせ面の平面度など、本来はさまざまな部分を計測し、使用限度以下であることを確認すべきですが、このあたりも割愛です。


チューニングは、99%を目指すのか、99.9%なのか、それとも99.999%まで突き詰めるのか、目的によって、施工やメニューが異なります。

今回のオーバーホールは「ベンツを、実用車として、長く楽しく快適に運転できるように」・・・というレベルでの作業ですので、この程度に抑えるようにしています。
(もっとも、やれと云われても、そうそうできませんが・・・)

チューニングは、突き詰めると、とにかく際限のない世界ですから・・・



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2012年10月3日