K&N エアクリーナー(フィルター)の 洗浄手順

■ K&N エアクリーナーの 洗浄


K&Nエアフィルターメンテナンスキット
右の画像は、専用の洗剤とオイルがセットになっている
K&Nフィルターのメンテナンスキットです。


作業自体はそんなに難しいものではありませんが、洗浄後の乾燥に時間がかかりますので、 余裕を持って作業しましょう。



クリーナーの塗布
まず、専用クリーナーをフィルター面に吹き付けます
けちけちすると汚れ落ちが悪いので、しっかり吹き付けましょう。

このまま10分ほど放置し、汚れをフィルターから浮き上がらせます。



K&Nエアフィルターを洗う 勢いの弱い流水で、ゴミや汚れを洗い流します
このとき、内側から外側へ水を流すようにします。

通常の空気の流れとは、反対の方向に水を流すことで、フィルターの谷の部分に溜まった微細なゴミが流れ出ます。

強い水流をかけると、フィルター部の布地が傷むことがあります。
弱い水流で、優しく洗ってあげましょう。


エアフィルターの乾燥
洗浄後は、水分を切り、乾燥させます

温風等で無理に乾燥させるとフィルターがいたむことがあります。

時間はかかりますが
自然に水を切って、自然乾燥(陰干し)が一番です。



エアフィルター洗浄終了
洗浄・乾燥が終了したフィルターです。

かなりきれいになりました。
(フラッシュの反射でかなり白く写っています。)


■ K&N エアクリーナー オイルを塗る

K&Nエアフィルター給油 乾燥が終了したら、専用オイルを塗布します

フィルターは山と谷が連なる "ひだひだ状" になっていますので

1. 「山」の部分のみに塗布する。
2. 反対の面の「山」の部分のみに塗る。


と、いう具合に二段階で作業すると、塗りすぎを防止し、適量を塗布しやすいです。

「1」 が終わった時点で、オイルの浸透具合を確認し、「2」 の工程で塗布するオイルの量を加減することで、失敗を防ぐことができるのです。

画像は、塗布直後の状態のため、オイルを塗った部分だけが赤くまだらになっていますが、時間とともに、オイルは "谷方向" へ浸透していきます。
フィルター全体が、均一なピンク色になれば完了です。

この方法は、スクイーズボトルでオイルを塗る時のやり方です。
スプレーボトルで塗る際は、前述の「山の部分だけ塗って、後はオイルの浸透を利用する」という技が使えませんので気をつけて下さい 左がエアゾールタイプ、右がスクイーズボトルの製品です(洗浄液はどちらも同じ、プッシュ式のスプレーボトルになっています)

K&N メンテナンスキット
エアゾール缶
K&N エアーフィルターケアサービスKIT
スクイーズボトル

■ オイルの塗りすぎに注意!

K&Nフィルターオイル塗布時のよくある失敗は、オイルを塗りすぎです
初回は、塗布するオイル量の加減が判りにくいと思いますので、とにかく少なめに塗るよう心がけましょう

後からオイルを塗り足すのは、いくらでもできますが、逆は無理です

最初はコットン布に滞留していたオイルも、時間とともに重力に引っ張られ、次第に下方に沈下していきます
「これくらいが適量だろう」と思っていても、次回フィルター清掃時にエアクリーナーボックスを開けてみると、ボックス下部に赤いオイルが垂れているというのも、よくあることです

そのような場合は、「前回塗布したオイルが多かった」ということですので、次回はオイルの塗布量を控えめにしてみましょう

ちなみに、オイルの塗り過ぎは、吸気抵抗の面からも望ましくありません。
オイルを塗りすぎて吸気抵抗が増えてしまうようであれば、チューンナップどころか、チューンダウンになりかねません


たかがオイルを塗布だけの作業なのですが、なかなか繊細な作業なのです
個人差はありますが、何度かやれば、適正なオイル塗布量を把握できるようになります

■ オイル塗布は、エアゾール?それともスクイーズボトル?


普通に考えると、エアゾール式の方が均一に塗れるような気もしますが、ここには二つの大きな盲点があります
一つ目の盲点は、「スプレー式なら均一に塗れるだろう」…という思い違いです

まず、正面からスプレーしようとすると、フィルターの「山」と「谷」の部分にオイルが乗りがちで、「山と谷の間」部分はオイルの乗りがよくありません。これは、側面部分がスプレー噴射に対して斜めになってしまうため、構造上致し方ないのです
これを避けるために、斜め方向からスプレーしようとすると、今度は影になってオイルが塗布されない部分が生じます。そのため、右方向と左方向の2回に分けてスプレーしなくてはなりません

このような作業を繰り返していると、オイルが最も掛かりやすい、フィルターの「山」の部分に過剰に油が乗ってしまい、それがフィルター全体に浸透して、結果として過剰塗布になりがちです

要は、エアゾールスプレーというのは、平面に対して均一に塗布するには一日の長があるのですが、フィルターのように「ヒダヒダの塊のような製品」に塗布する場合、それほどメリットが活きてこないのです


二つ目の盲点は、「エアゾール塗布は、塗る必要のないフィルター以外の部分にもオイルが付着しやすい」…という点です

フィルター以外のゴム製型枠部分や、金属製の蓋状の部分にまでオイルが付着してしまうのは、はっきり言って望ましくありません
ですがそこはエアゾール。スプレー噴射なのですから、意図しない場所までオイルが付いてしまうのです

枠や蓋など、フィルター部以外に油が付着してしまうことへの対処は、3つしかありません
  1. テープや紙を使用してマスキングし、オイルの付着を防ぐ
  2. オイルの付着は仕方ないと諦め、スプレー後に丁寧に拭き取る
  3. 枠や蓋にオイルが掛からないよう、近距離からスプレーする
「1」のマスキング法は確実ではありますが、こんなことする人はあまりいないでしょう。
「2」の拭き取りが、現実的な対応だと思います
そして「3」は、最も「サイテー」な対処になりますが、誰もがやりがちなことでもあります

近距離からスプレーすると、フィルターにオイル液を直接かけるのとさほど変わりはありません
圧力をかけてわざわざ霧状にしたオイルも、至近距離から噴霧すれば、液体をぶちまけるのとほぼ同じになってしまうのです。当然噴霧した箇所はオイルでベトベトとなり、過剰塗布となります
もはや、何のためにエアゾールを使っているのか、全く分かりません

このように、エアゾールスプレーは…
  • 均一に塗れそうな気がするが、意外とそうでもない。均一に塗ろうと試行錯誤するうちに過剰塗布になりがちである
  • 余計なところに油が付いてしまうので、それを避けるため、近距離から噴射しがちである。こちらも過剰塗布につながる
…というデメリットがあります

一方の「スクイーズボトル」は、そもそも均一に塗ること自体が無理ですので、「オイルの浸透」を利用して、結果的に均一になるようにオイルを塗らなければなりません
経験と勘とテクニックが要求される作業ですが、前述の「山塗り」と「谷塗り」を行えば、(時間はかかりますが)初心者でも失敗を防ぐことができます


オイル塗布作業に慣れてきて、適性な塗布量が判ってきたら、面倒な「山塗り」は止め、適正量をフィルターの「山」に対して直角になるように、オイルを線状に掛け回せば良いのです
もちろんオイルが均一に浸透するための時間は必要ですが、実作業時間は大幅に短縮することができます

■ 古くなった純正フィルターにも利用価値あり

K&N等の、純正と同形状の湿式クリーナーを購入した場合
古くなった純正品も、捨てずに保管しておくと、少しだけ役に立ちます。

湿式クリーナーを洗浄している間、とりあえず純正品を装着しておけば
洗浄が完了していなくても、自動車を使うことができるからです。

こうすると、洗浄の各工程(特に乾燥)に、充分な時間を掛けることができるので
あせらずにゆっくりと、丁寧に作業することができます。
また、作業中に突然車両を使う必要が出たときにも、対応可能です。

「たったそれだけ」といえば、それだけなのですが
いざというときに「ノーマル」に戻せるというのは、車検や買い替え、下取りなどの時などにも、安心できます。

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2016年4月5日