オイル交換時のトラブル

■ エンジンオイル交換について


エンジンオイルの交換は、自動車DIYメンテナンスの基本ではありますが、オイルという液体を扱うこともあり
初心者にとっては、それなりに難しさを含んだ作業かもしれません。
手順としては、
  • ドレンボルトをはずして古いオイルを抜く
  • ワッシャー(パッキン)を交換して、ドレンボルトを装着する。
  • 規定量の新しいオイルを注ぐ
  • オイル量を確認する
というだけではありますが、一見簡単そうに見えて、陥りがちなトラブルというものがあります。

エンジンオイル交換における、「ありがちなトラブル」と、注意点をまとめてみました。

■ ドレンボルト(ドレンプラグ)を落としてしまう

ドレンボルトを外そうとボルトを回していると、突然ボルトが外れてしまい、吹き出てきたオイルと一緒に、オイル受けの中に落としてしまうことがあります。

すぐにボルトを拾えれば良いのですが、あっという間に黒く汚れたオイルの中に隠れてしまい、ボルトを探すのに苦労することもあります。

これを避けるためには、「ボルトが外れそうになったら、慎重に回転させる」ということが重要です。
ボルトがあと数回転で抜けるところまできたら、ただ単にボルトを回転させるのではなく、オイルパンの方向に力を加え、やや押し付けるようにしながら回していきます。
このように作業すると、「いきなりのオイル噴出」や「ボルトの落下」を防止することができます。

また、エンジンオイルの注入口を開けた状態で作業すると、大気圧がオイルを押し出してしまうために、オイルの排出される勢いが強くなります。
ドレンを外す時は、注入口は締めた状態で作業しましょう。
注入口を開けるのは、排出するオイルの勢いが弱くなった後でも遅くはありません。

■ オイルの受け損ない


ドレンボルトを外すと古いオイルが出てきますが、どのくらいの勢いで排出されてくるかというのは、経験の無い初心者にとっては判りにくいものです。
ただ単に床を汚す程度なら良いのですが、着衣などにかけてしまうと、後々面倒です。

「オイル受け」には、プラスチック製のトレイや、ダンボール箱に吸油材を仕込んだ「使い捨てタイプ」のものなどがありますが、それらの限られた開口面だけで、上手にオイルを受けきるのは若干の慣れが必要です。
どちらを使用するにしても、床面には新聞紙やダンボール、ブルーシートなどを広範囲に敷いて、汚れても大丈夫な作業環境にして望みましょう。
こういったものを敷いておけば、その上で寝転がって作業することもできますし、また、新聞紙は、必要に応じて破り取り、ウエス代わりに使用することもできます。

たったこれだけのことですが、少々オイルがこぼれても安心して作業できるというのは、余裕を持った作業につながります。

■ ワッシャーのつけ忘れ・交換忘れ


ドレンボルトにはパッキンの役割を果たすためのワッシャーが付いています。
このワッシャーは、自分が適度につぶれることで密閉性を確保するようにできています。
ワッシャーは銅製などの場合が多いですが、これはワッシャー側が潰れるために、あえて柔らかい金属が使用されています。
オイルパン側がつぶれてしまっては致命的なトラブルになりかねませんので、オイルパンにダメージを与えることなく密閉性を確保できるように、という訳です。

一度つぶれてしまうと、元の状態には戻りませんので、使用済みのワッシャーは適正な密閉力を保持することができません。
このような理由で、オイル交換のたびにワッシャーを新品に交換する必要があります。
(使用済みのワッシャーを再利用したからといって、必ずオイル漏れを起こすという訳ではありませんが、高価な部品ではありませんし、エンジンを保護する重要なオイルの「栓」であるわけですから、毎回の交換は必須とされています。)

小さな部品ですが、重要な役割を担っていますので、「つけ忘れ・交換忘れ」の無いように配慮が必要です。

■ ドレン穴のネジ溝破損


ネジ溝がきちんと勘合しないまま、工具を使用して締め込んでしまうと、ネジ溝が簡単につぶれてしまいます。
スパークプラグの交換でも同様のことが言えますが、オイルパンは柔らかいアルミ金属でできていますので、ネジ溝が傷みやすいのです。
特にドレンボルトは鉄などの比較的硬い金属でできていますので、被害はドレンボルトの方ではなく、柔らかいオイルパンの方が潰れてしまいます。
ドレン穴は、重要な部分であるだけに、このトラブルだけは避けたいものです。

予防法としては…
  • ドレンボルトを外す前に、ドレン穴周辺を清掃する。(砂などの噛み込み防止です)
  • ドレンボルトを取り付ける際は、斜めに挿入しないよう、目視しながら作業する。
  • 指でボルトが廻る間は、指を使って捻じ込む。(指の力で動かなくなったら工具を使用する。)
…というところです。
三番目の項目は、特に重要です。
慣れてくると、こういった基本的な注意事項を怠るようになり、「何度もやっているから大丈夫」という過信が生じます。
慣れてきた頃こそ、初心に戻る必要があり、基本に忠実な作業が肝心です。

■ 締め付けトルク不足・過多


きちんとネジ溝を合わせた後は、工具による本締めとなります。
このあたりも「初心者には判り難い」部分かもしれません。
締め付けすぎるとオイルパンの破損につながりますし、締め付けトルクが不足していると、オイル漏れなどにつながりかねません。

本来それぞれのネジには、メーカーによって設定された「締め付けトルク」というものがあり、トルクレンチという工具を使用して、適正な締め付け具合を掛けること推奨されるのですが、熟練者ならいざ知らず、メンテナンス初心者はそうそうトルクレンチを持っているものではありません。

力のかけ具合を言葉で表現するのは難しいのですが、成人男性であれば全力で締め付けるのだけは避けてください。(使用する工具の柄の長さにも左右されますので要注意です。)
「拳骨握り」で工具を持つと、強い力が入ってしまいますので、中指と薬指だけを工具に引っ掛けるようにして持ち、「締まる具合」を指先に感じながら「クイッ、クイッ」と締め込むと、締め込み過ぎを防止することができます。(腕力のある方、無い方は、使う指を変えてみてください。)

締め込み不足によるオイル漏れが心配な場合は、注入したオイルの量を確認した後に、試験走行を行い、ドレンボルト周辺にオイル滲みが発生していないか、目視確認してみると良いでしょう。
ドレン穴の周辺をきちんと清掃しておけば、目視で簡単に判断できます。(逆に汚れたままの状態にしておくと、判断そのものができません。)

ちなみに、乗用車の標準的なドレンボルト締め付けトルクは、40N-m(4kgf-m)近辺であることが多いです。

■ 【 補足 】


昔と違い、ドレンボルトにアクセスするためには、アンダーパネルを取り外さなければならない車両が多くなってきました。(アンダーパネルはあっても、ドレンボルトの場所にメンテナンスホールと呼ばれる穴があいてあり、パネルを外さずに作業可能な車両もあります)

アンダーパネル自体を外すことができない。
もしくは、エンジンを下から覗いてみて、オイルパンやドレンボルトがどれだかさっぱり判らない、という場合
は、「自動車の構造」や「メンテナンスの初歩」を勉強してからにした方が良いでしょう。
基本知識が不足している状態で整備に手を出そうとすると、本来不必要なトラブルを発生させてしまう場合があります。

他に挙げることのできる「メンテ初心者にとって重要な事」といえば、「行き当たりばったりの作業をしない」ということでしょうか?

あらかじめ必要なものをすべて用意して、作業スペースに並べ、取り掛かる前に頭の中で作業の順番を想像してシュミレーションすることができれば、そのメンテナンスで失敗することは少ないでしょう。
何も考えずに、先に手を動かしてしまうと、思わぬところで失敗することがあるものです。

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2015年4月3日