シリンダーヘッドの組み付けです
シリンダーヘッドのオーバーホールも、ようやく最後のステップです。
必要な部品を洗浄し、シリンダーヘッドに組み付け、車体に載せます。
必要に応じて部品を交換し、丁寧に組みつけていけば、190E は期待を上回るパフォーマンスを見せてくれる …はずです。
こまごました部品を、とにかくきれいにします
これは
インジャクター
びっしりとカーボンで覆われています。
「
清掃後」です。
黒い「わっか」状のものは
インジェクターパッキンです。
あまりにも硬化が進んでいたため、最初は
プラスチックかと思いました。
パッキンは要交換部品ですが、カチカチになっていて、どうにもインジェクターと分離できません。
仕方ないので、結局ニッパーで「切って」外しました。
インテークマニホールドです。
組み付け後はエアクリーナーの下に隠れますが、中も外もきれいにします。
ぴかぴかになりました。
一つ一つのパーツを綺麗に洗浄することにより、組み付け時のゴミの付着や埃の侵入を防ぎます。
これも「整備」のひとつです。
エアフローセンサーと
スロットルボディ、
インテークマニホールドの集合部を仮組してみたところです。
インテークマニホールドやインジェクターも組んでみました。
この状態で、各パーツやボルト、フューエルラインやバキュームラインの接続を、頭の中で反芻します。
ここまでやっておくと、実際に車両に組み付けるときに、あまり悩まなくて済みます。
「
エキゾーストマニホールド」です。
マスキングしているのは・・・
このように耐熱塗料を塗ろうと思ったからです。
白茶けたエキマニが、艶消しブラックで引き締まりました。
タペットカバーの裏側は、半ば炭化したエンジンオイルに覆われていました。
ドリルとステンレスブラシの組み合わせで綺麗にしていきます。
中だけでなく、塗装をして外もきれいにします。
画像にはありませんが、古い塗装を、剥離剤を使ってはがした後に塗っています。
さて、拳銃の薬きょうみたいな形状ですが、これは何でしょう?
正解は
バルブリフターです。
油圧を利用して、バルブクリアランスを常に一定に保つための部品です。
ロッカーアームの先端の、バルブスプリングを押す部分にはまっています。
ここまでする必要は無いと思いますが、今回はリフター内部の古いオイルを排出し、新油で満たすことにしました。
リフター内部に球状のボールバルブがあります。
これがリフター内部にオイルを閉じ込めています。
ボールを針金等で押し下げると、内部のオイルまで排出することができます。
ここまで踏み込まない場合は、最初からリフターに触らずに、できればオイルの中に漬けておきましょう。
オイル室に新しいオイルを充填し、空気の噛み込みが無いことを確認したら
バルブリフターをロッカーアームに取り付けます。
その他もろもろの部品も、同じように洗浄し、どんどん組み上げていきます。
シリンダーヘッド、
カムシャフト、
ロッカーアーム、
チェーンガイド、
チェーンテンショナー等を取り付けると、写真のようになります。
分解時とは違って、洗浄後の金属地肌が綺麗な銀色になっています。
ねじ山の状態を確認し、
"かじり"防止ペーストを使用しながら、
適宜トルク管理をして組んでいきましょう。
また、始動時の
初期潤滑のために、カム等にはオイルを注しておきます。
この時点で、クランク軸にレンチを掛けて、ゆっくりと廻してみます。
カムの取り付け等に間違いが無いことを確認するためです。
バルブスプリングの抵抗の具合を感じながら、ロッカーアームの動きを確認し、カムがスムーズに廻ることを確認しましょう。
ちょうど良い機会なので、ヒーターコアとシリンダーヘッドを繋ぐクーラントホースを交換します。
写真はホースの使用前・使用後です。
左が使用後です。ホースクランプの跡がくっきり付いています。
ホースをシリンダーヘッドへ固定する取り付けナットも交換です。
写真が白く飛んでいてわかりにくいですが、かなり腐食していました。
左が使用後、右が使用前です。
写真後方のインテークマニホールド取付け面右端に取り付けます。
再びどんどん組み上げていきます。
エキゾーストマニホールド、
インテークマニホールド、
メインハーネス、
オルタネーター、
ラジエーターなどなどなど・・・
組み上げたあとは、エンジンオイル、クーラントを補充します。
ATは触っていないのですが、ラジエーターとATFラインを分離する際に、ATFが少し漏れてしまうので、これも補充して適正な量にしておきます。
バッテリーをつないだあとは、あえて一旦休憩をとり、コーヒーでも飲みながら、
電気系統の結線、ボルトの締め忘れが無いかどうかをよーく確認します。
これでようやく、エンジンに再び火を入れることができます。
通常の始動とは異なり、長い時間セルを廻すことになるので、バッテリーのご機嫌を取りながらセルを廻します。
最初はアイドリングが落ち着かずにあせりましたが、そのうちに落ち着いて回転を始めました。
ついに 完成です!
試乗後の感想
特別なチューニングをしたわけではなく、ただカーボンを落として、バルブのすり合せをしただけですが、はっきりと判るほど加速感が向上しました。
アクセルを踏み始めたときの出足が、格段に良くなっています。
エンジンのホイールマスを感じさせながらも、
ストレス無く、スムーズに吹け上がり、乗っていて楽しさを感じます。
これが本来の性能というものなのでしょう。
今までは「国産車とは設計思想が違うし、そもそも二速発進なのだから・・・」と、
自分を無理に納得させていましたが、これからはその必要はなさそうです。
また、寿命が近づいていたヘッドガスケットやバルブシールを交換することができ、安心して乗ることができます。
かなりの手間が掛かりましたが、少なからずの収穫を得ることができました。
そして何よりも… 「
無事に終わって良かった…」 デス。
何しろ、エンジンを開けるのは、初めての経験(挑戦)でしたから・・・
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