オイルチェンジャーを使ったエンジンオイルの交換手順です
エンジンオイルの交換は、車の基本的な整備であるにもかかわらず、それほど簡単ではありません。
それは…、車の下に潜る必要があるからです。
それだけではなく、適切なトルクでドレンボルトを締結する必要があり、これには実践に裏付けられた経験か、もしくは高価なトルクレンチが必要です
「潜るのは、服も汚れそうだし、大変そうだ・・・」と、いう方には
この
「オイルチェンジャーで、オイルを上抜きして交換する」というのがお勧めです。
これが、私の使っている「オイルチェンジャー」です。
エマーソン社製の「オイルチェンジャーEM-102」という商品です。
(大手カー用品店で、取り寄せで購入した覚えがあります。)
オイルチェンジャー本体の他に、ハンドルや、パイプ固定用の大型ピンチ、パイプなどが入っています。
エンジンオイルの排出のみでなく、ATFやパワステフルードの排出補助、オイルを入れすぎてしまった場合の調整などにも使用することができ、何かと便利です。
この「エマーソンのオイルチェンジャー」は、今ではあまり見かけなくなりましたが、同様の商品なら現在でも入手可能です
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手動式
オイルチェンジャー 6L
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パルスター
オイルチェンジャー 5.5L
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「直接排出式オイルチェンジャー」のデメリットは、後でも記述していますが、使用後に廃オイルがじわじわと染み出すので、きちんと後処理をしないと周囲を汚してしまうということです
直接排出ではない「タンク式」の方は、廃オイルを溜めるスペースがあるため、製品の容積が増してしまいますが、後処理が楽なことを考えると、こちらのほうがオススメではないかと思います
使用手順
ポンプのパイプを接続し、ハンドルを取り付けます。
画像では、パイプをすべて接続していますが
長さ的に必要ない場合は、延長パイプを接続する必要はありません。
オイル受けに排出パイプを固定します。
大型のピンチが付属していますので、これを使って、オイル受けに廃油パイプを固定します。
吸引パイプをオイルゲージの点検口に差し込んだ後、ハンドルを押して、オイルを排出します。
ハンドルを押す際、ダンパーを押すような重い抵抗感がありますが、無理をせずにゆっくりと押しましょう。
オイルが出てこなくなるまで、この作業を続けます。
オイルの排出が終わったら、エンジンオイルの給油孔から新油を補充し、オイル量の過不足を確認すれば終了です。
ジャッキアップも、車の下に潜る必要もありません。
作業終了後は、片付けです。
直接排出式オイルチェンジャーの悪いところですが
排出口が製品の下部にあるため、シリンダー内に付着したオイルがじわじわと漏れ出てくるというものです
中のオイルを出し切ったつもりでも、安易にそのまま収納すると、後から時間をかけて滲み出たオイルで、周囲を汚したりすることがあります。
対策としては・・・
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ポンプは"空押し"を何度も行い、できるだけオイルを排出した後に、排出孔を下にしてしばらく放置する
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使用したパイプは、オイルが抜けるよう、しばらくの間吊り下げておく
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ある程度オイルが抜けたら、排出口をボロ布で養生してから収納する
手間はかかりますが、ここまでやれば大丈夫です
画像では、ボロ布で廃油孔の部分を覆っています
オイルチェンジャーで、ちゃんとオイルが抜けるのか?
「オイルチェンジャーを使った上抜きで、すべてのオイルが抜けるのか?」というのは、気になるところです。
190E (102エンジン) の場合、"上抜き"で排出したオイル量を測ったところ、通常のドレンポルトから排出する量と、ほぼ同じ量を排出できていました。
ドライサンプなどの特殊な潤滑方式を取っている車両でなく、通常のウエットサンプであれば、上抜きでも充分事は足ります(たいして変わりありません)
また、一度でもエンジンを開けたことのある方なら判ると思いますが、オイルの完全排出というのは、どだい無理な話です
ドレンボルトから排出可能なオイルをすべて出しきったとしても、エンジンの中にはある程度のオイルは残っているものです。オイルは粘性の高い液体で、金属表面に留まりやすいように作られているので致し方ありません。また、エンジン始動時の初期潤滑のためにも、ある程度のオイルは残るような構造になっていたほうが良いのです
実際のところ、オイルの完全排出にやっきになるくらいなら、オイルフィルターを毎回交換する方が良いのではないかと思います。
エンジンにもよりますが、2リッタークラスのエンジンの場合、オイルフィルター内に残置されるエンジンオイルは、おおよそ200ml程度ですので、オイルフィルターを交換すれば、その分エンジンオイルの置換率が高まることになります
もちろん、オイルフィルターはオイル交換毎に交換するものではなく、2回に1回程度交換するとされているもので、極端なスポーツ走行を繰り返すような場合を除き、そこまでする必要はありません。逆に言うと、オイル交換の頻度とオイルそのものの品質が適性である場合、その程度の残置オイル量があっても、「全く支障はない」ということなのです
補足:ウエットサンプとは、エンジン下部のオイルパンにオイルを溜める潤滑方式。ほとんどの乗用車はこの方式と言ってよい。 一方のドライサンプはレース用途などに最適化するために、オイルパンを設けずに、吸い上げたオイルを別の場所に設けたオイルタンクに溜める方式である。ウエットサンプのほうがオイルパンの高さの分だけエンジン搭載位置を低くすることができ、低重心化に貢献するが、構造が複雑になるとともにコストがかかってしまうため、一般車両ではほとんど採用されない方式である。 最近の例で云うと、ホンダの「NSX GT3」がドライサンプであるが、これはレース専用車両である
オイルチェンジャーは手動式?それとも電動式?
また、オイルチェンジャーには手動式ではなく、電動式タイプもありますが、手動式の方が確実にお勧めです。
理由は・・・
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手動式は高い吸引圧力を得られる。 電動式は手動に比較して、顕著なまでにパワーが弱い
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電動式はバッテリーに接続する必要がある。動力をバッテリーに依存するため、電圧低めで、なおかつオイル硬め(低温)だと、パワーが足りず、吸い出せないこともある
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電動式で高トルクの製品は、相対的に吐出量が低くなるので、やたらと時間がかかる(例:1分で300ml)。 吐出量の多い製品は、逆に低トルクにならざるを得ないので、オイルを吸い出すのに難がある。 高トルクで吐出量の多い製品は、(そういう製品は見当たりませんが)そもそも自動車用バッテリーの蓄電量では充分に稼働させることができない
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手動式は構造が単純なため、壊れにくい
・・・というのがその理由です。
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