ATOTO A6 S8 F7 比較と違い
このページでは、ATOTO製カーナビのA6・F7・S8シリーズの違いについて解説します。
(Standard、Performance、Ultraの意味等も言及)
ATOTO A6・F7・S8の3シリーズは、どれも
Carplay/Android Auto対応のディスプレイオーディオです。
ATOTO製品は、品名(型式)が英数字の羅列になっており、慣れないうちは判りづらいですが、このページを一読すれば、型式名だけで、そのモデルの概要が(おおよそ)判るようになります。
ディスプレイオーディオと、従来型地図内蔵ナビの違いや、
国内メーカーとATOTO(中華ナビ)の比較については、下記リンク先にて解説しています。(解説が長くなりましたので、別ページに分割しました)
ATOTO第2世代の解説については、「
ATOTO 第2世代(GEN2)とは?」のページをご覧ください。
ATOTO シリーズ・モデル種別・OS一覧
ATOTO製ディスプレイオーディオを分類すると、上の表のようになります。
(上の表のリンクをタップすると、各モデルの詳細解説項目にジャンプします)
F7は、OSにLinuxを採用しており、A6とS8はアンドロイドを使用しています。
(ですので、アンドロイドナビと呼べるのは、A6とS8です)
厳密な分類ではありませんが、大まかに言うと、
F7とA6シリーズがエントリーグレードに相当し、
S8シリーズが高級グレード、という位置づけです。
ATOTOナビをグレード順に並べると…
A6シリーズと
S8シリーズは、同じAndroidOSが採用されており、
アンドロイドナビと呼ぶことができます。
そのため同じ範疇の製品として、同列で比較することが可能です。
この2つを、ざっくりと
低いグレードから列挙すると…
-
A6 PF(Performance)、
-
A6 PP(PerformancePlus)、
-
S8 SD(Standard)、
-
S8 PM(Premium)、
-
S8 PR(Pro)、
-
S8 MS(Mass Popularization)
-
S8 UL(Ultra)、
-
S8 UP(Ultra Plus)
…と、なります(後の方が上位グレード)
ちなみに、
A6PPは
メモリ量が4GB、ストレージ量が64GBであり、
液晶パネルもQLEDが採用されています。
この部分だけに着目すると、
S8MSと同スペックに見えなくもないのですがが、実は大きな違いが残されています。
補足
ここでは、各モデルのグレードをざっくり比較しましたが、細かいところを見ると、部分的な逆転現象も起こっています。
例えば、A6G2C7PPは、最新型のディスプレイパネルが採用されており、7インチでありながら1280x720画素を表示可能です。
S8シリーズの7インチモデルは、どれも1024x600画素のディスプレイを採用しているため、インチあたりの解像度だけで比較すると、現時点ではA6PPが最もハイスペックです(2024年3月時点)
この7インチ高精細パネルは、他モデルにも順次投入されていくものと思われますが、パネルの供給能力が潤沢でない場合は、9インチモデルのラインナップ拡大がそうであったように、しばらく日数がかかるかもしれません。
A6とS8の大きな違い
A6とS8の決定的な違い、それはSoC(CPUを含む実装されたチップセット)です。
A6が1.6Ghz(ARM CortexA55 コア数8)に対し、
S8は1.8Ghzと高速になっており、
GPUも組み込まれています。
(これは機能の違いではなく、反応速度の違いとなって現れます)
S8シリーズ売りの一つ「
高速2秒起動」は、このチップセット(UNISOC 7862 コア数8)の強力さによるものです。
(バックギアに入れた時の画面の切り替わり速度や、音楽再生時の開始スピードなどにも差が出てきます)
A6に比べて、S8が幾分割高となっているのは、この
Socチップの価格が、製品コストの主要部分を占めるからに他なりません。
スマホの世界でもそうですが、常にサクサクと反応してくれる、
ストレスフリーで快適な使用感は、いかに強力なSoCチップを使用しているかにかかってきます。
他にもA6とS8の違いは、搭載アンプのグレードや、仮想アラウンドビュー駐車アシストの可否など、細かな相違があったりもしますが、A6とS8の決定的な違いと言うと、このSoCチップの違いになります。
あまり車に乗らない方であれば、A6シリーズ(もしくはF7)でも構わないと思いますが、常日頃からよく車に乗るのであれば、
よりサクサクと快適に作動するS8シリーズがおすすめです。
高コスパのF7シリーズ
F7シリーズはLinuxOSですので、A6・S8シリーズと同列に語ることはできません。
ただ、採用パーツやスペック等を見る限りでは、A6シリーズと同等以下のエントリーグレードとなっています。
元々F7は、ワイヤレス接続に非対応だったため、あまりおすすめではありませんでしたが、
WEシリーズ登場後は、ワイヤレス接続対応となりました。
そのため現在では、予算の限られた方におすすめできる、
高コスパのディスプレイオーディオとなっています。
(ただし、アンドロイドナビではありませんので、Googleプレイストアを通して、サードパーティ製アプリを自在にインストールして使うことはできません)
F7シリーズは、「商用車」に使う場合、ベストの選択となり得ます。
個人使用の場合は、通常1~2台の購入で収まりますが、会社組織で購入する場合、営業車両と配送用車両を合わせると、数十台を超えることもあり得ます。
営業利益に直結しますので、1台あたりの価格は、低いに越したことはありません。
また、仕事に使うわけですから、余計なアプリも必要ありません。ですので、アンドロイドナビである必要もありません。
ビジネス用途として経費で購入し、(自分が使うのではなく)
雇用者に使わせるのであれば、F7シリーズは最善の選択です。
(同じビジネス用途でも、自営業なので自分が使うという場合は、せめてA6かS8にしておきましょう。快適度と拡張性に差が出ます)
補足
F7は、ATOTO純正のドライブレコーダーに非対応です。
これがデメリットかどうかについては、使う人にもよるところです。
ドラレコは必要だし、大型タッチパネルで楽に操作したい、撮影動画を大画面ですばやく確認したい。…という場合は、純正ドラレコ対応型の、A6もしくはS8シリーズがおすすめです。
● 関連ページ:ATOTO 純正ドライブレコーダーのメリット
ATOTO S8 一覧表
※ サイズは画面サイズを意味します。7in = 7インチ、10in = 10インチ
※ 『操作』の「タッチ」は全面タッチパネルを意味し、「物理」は物理ボタン付きのモデルを指します。
※ 「容量」の「3G+32G」は、メモリ搭載量3G、ストレージ容量32Gを意味します。
※ ATOTO公式サイトで10.1インチと表記されているパネルは、ここでは簡略的に10インチ表記としています
※ 『SD』 = Standard(スタンダード)
※ 『PM』 = Premium(プレミアム)
※ 『PR』 = Pro(プロ)
※ 『MS』 = MassPopularization(マスポピュラリゼーション)
※ 『UL』 = Ultra(ウルトラ)
※ 『UP』 = UltraPlus(ウルトラプラス)
※ 上の表で、(新)とあるモデルは、amazonでは未販売。楽天のみで販売です。
また、(旧)のモデルは、楽天市場ATOTO公式店からは、既に販売ページが削除されています。
なぜそのような、ややこしいことになっているかというと、「経営的な大人の事情」が絡んでいます。
詳細はこちらの、S8 PR(Pro)に、新型登場の、後ろの方に書いています。
ATOTO A6 一覧表
※ 『PF』 = Performance(パフォーマンス)
※ 『PP』 = PerformancePlus(パフォーマンスプラス)
ATOTO F7 一覧表
※ サイズは画面サイズを意味します。7in = 7インチ、7W =7型ワイド、10in = 10インチ
※ 『WE』 = Wireless Edition(ワイヤレスエディション)
※ 『XE』 = Extreme Edition(エクストリームエディション)
ATOTO製品、型式の意味
ATOTO製品の型式の説明をするにあたって、7インチサイズのアンドロイドナビ「A6G2B7PF」を例に取り上げたいと思います。
A6G2B7PFという型式を、意味ごとに区切ると、
A6・G2・B・7・PFの5つに分けられます。
それぞれ何を意味するかというと…、
A6シリーズ、
G2世代、
B(識別子)、
7インチ、
PFモデル…となります。
シリーズ名 - A6/F7/S8
『 A6G2B7PF 』
最初の2文字は、
A6・F7・S8などのシリーズ名を表しています。
F7シリーズはLinuxをOSに使用した、組み込み型OSのモデルです。
A6シリーズとS8シリーズは、OSにアンドロイドを採用しており、いわゆる『アンドロイドナビ』です。
世代バージョン - G1/G2
『 A6G2B7PF 』
次の2文字は世代を表し、G2であれば、
GEN2(第2世代)を意味しています。
G1であれば第1世代ですが、これはもう「F7
G110XE」くらいしか残っていません。
ATOTOの製品開発サイクルはかなり早く、世代が古く、スペック的に陳腐化したモデルは、速やかに製造終了・販売停止・廃番となるからです。
G2 = 2021年2月以降(追記1)
ATOTOに確認を取ったところ、
G2モデル(第2世代)は、
「2021年2月以降に発売されたモデル」との公式回答を得ました。
「特定のチップを使用」もしくは、「特定のシステム要件を満たしている」などの回答を期待していましたが、さにあらず、以外に拍子抜けでした。
言い換えると、
発売時期が前後しているだけで、システム上のこれといった違いはないとも言えます。
※ 常識的に考えると、新世代の方が従来に無い機能を持ち、新たな進化を遂げていると考えるのが普通です。
機能やシステム構成に違いはなく、単に発売時期の違いを「第1 / 第2世代」と分けて表示するのは、消費者の誤認を誘っているとしか思えず、商売のやり方としては、少々あさましいと言わざるを得ません。
G1 = 1DIN取付可能なバージョンアップ版(追記2)
元々旧世代を表す「G1」という名称ですが、2022年下半期以降に、別の意味を持つG1モデルが登場しています。
S8G1104PR-A、S8G1109UPの2モデルです。
前述のように、これまでは「G1 = 第1世代」ということになっていましたが、現状では「G1 = 1DIN開口部取付可能」という意味にすり替わっています。
これについては、
● 関連ページ:
ATOTO 第2世代(GEN2)とは?
のページで詳しく解説しています。
製品識別子 - A/B
『 A6G2B7PF 』
その次の1文字は、
識別子を示しています。
同シリーズ同世代同サイズ同モデルにおいて、製品を区別するための番号です。
一部例外もありますが、『
A』なら「
物理ボタン付き」、『
B』なら「
全面タッチパネル」となっています。
※ 例:「F7G2A7WE」と「F7G2B7WE」、「A6G2A7PF」と「A6G2B7PF」など。
なお、「F7G209WE」や「A6G209PF」など、識別子のないモデルも存在します。
液晶サイズ(インチ) - 7/9/10
『 A6G2B7PF 』、『 A6G209PF 』
その次の文字は、
7、9、10などの液晶サイズを表します。
7インチの場合は、『7』の1文字ですが、9インチの場合は『09』と2文字だったりします。
また、10インチの場合は『10』もしくは『11』と表記されています。
(統一性が今ひとつで曖昧な表記となっています)
※ 10インチモデルに『11』の表記が見られるのは、ATOTOの10インチモデルは正確には「10.1インチ」であることが理由と思われます)
モデル種別 - PF/SD/UT等
『 A6G2B7PF 』
最後の2文字はモデル種別であり、
Performance、Standard、Ultra、などの略称を、PF、SD、ULなどの2文字で表現しています。
F7 WE = Wireless Edition(ワイヤレスエディション)
F7 XE = Extreme Edition(エクストリームエディション)
A6 PF = Performance(パフォーマンス)
A6 PP = PerformancePlus(パフォーマンスプラス)
S8 SD = Standard(スタンダード)
S8 PM = Premium(プレミアム)
S8 MS = Mass Popularization(マスポピュラリゼーション)
S8 PR = Pro(プロ)
S8 UL = Ultra(ウルトラ)
S8 UP = UltraPlus(ウルトラプラス)
この内、比較的新しいのは、A6PPとS8MSの2モデルです
(メモリ搭載量が4GBと多め)
また、以前はS8 LT(Lite・ライト)というモデルがありましたが、今では廃番となっています。
実質的にA6と同じであり、消費者の誤認識を誘いやすいことが災いしてものと思われます。
これらの型式の分類は、ATOTO製品すべてに標準化されているわけではありません。
型式が9桁の製品には、識別子とインチサイズの順序が逆になっているモデルもありますし、一部には識別子のないモデルも存在します。
ただ、シリーズ名と世代バージョン、モデル種別の3つに関しては、この分類でおおよそ識別可能です。
F7シリーズ - 基本性能のみでOKならコスパ最強
OSにLinuxを採用し、低価格を実現
製品名の最初の2文字が『F7』となっているのがF7シリーズです。
F7シリーズは、OSにLinuxを使用したモデルです。
(LinuxとAndroidの違いについては、「
AndroidとLinuxOS」のページで詳しく解説しています)
CarPlay/Android Auto対応ではありますが、AndroidOSではありませんので、A6・S8シリーズのように、グーグルプレイストアを通してサードパーティのアプリを自在にインストールして使うことはできません。
この部分は一つのマイナスポイントですが、そこまでの機能を使用しないのであれば、特段ネガティブに捉える必要はありません。
CarPlayとAndroid Autoに対応しており、ミラーリングも可能であれば、ディスプレイオーディオとしての基本性能は十分満たしているです。
ただ、拡張性は今ひとつであり、
ATOTO純正のドライブレコーダーは非対応です。
これは、ATOTO製ドラレコが、Androidナビ用として設計されているからに他なりません。
これと同様に、純正、非純正に関わらず『Androidナビ用』のアクセサリーパーツは基本的に非対応です。
これは、
組み込み型独自OSの宿命とも言えるものです。OSがLinuxであり、Androidではないのですから、致し方ありません。
F7シリーズについては文章量が多くなったため、解説を別ページに分割しました。
下記ページをご参照下さい。
● 解説ページ:ATOTO F7 徹底解説
(F7シリーズの比較一覧表、おすすめモデルとその根拠を記載しています)
『OSがAndroid』というのと、『android auto対応』とでは、全く意味が異なります。
混同しないよう注意しましょう。
前者はオペレーションシステムを指しており、後者はアプリケーション(対応するアプリ)を意味しています。
A6シリーズ - 良コスパのアンドロイドナビ
AndroidOSで、高度なネット親和性
製品名の最初の2文字が『A6』となっているのがA6シリーズです。
例:「
A6G2A7PF」、「
A6G209PF」
A6シリーズは、現代的なAndroidOSを使用し、コストパフォーマンスに優れたエントリーモデルです。
エントリーモデルと表現しましたが、それはあくまでもATOTO内での位置づけであり、使用しているパーツをよく調べてみると、国内メーカーの中堅~高級グレードに相当することが判ります。
また、組み込み型OSやLinuxOSモデルと異なり、
Googleプレイストアからサードパーティ製アプリを自在にインストールできるのも良いところ。
ネット親和性が高い、現代的なディスプレイオーディオです。
※ ちなみに筆者が実際に購入したのも、A6シリーズです(9インチモデルの「A6G209PF」)
S8シリーズ - 1.8Ghzで高速、サクサク動く快適さ
S8シリーズはATOTO製ディスプレイオーディオの上位モデル群です。
A6シリーズと同様に
AndroidOSを使用した「Androidナビ」です。
LinuxOSのF7シリーズとは異なり、サードパーティ製アプリを自在にインストール可能です。
A6シリーズとの主な違いは、
CPU速度が1.8Ghzと強力であり、サクサク動いて起動速度も速いことです。
(2秒で起動します)
また、
メモリも4G以上搭載しているモデルが多く、先進的なQLEDパネルを採用しているモデルが大半です。
また、S8シリーズの中でも上位モデルに相当する、PR(プロ)、MS(マスポピュ)、UL(ウルトラ)、UP(ウルトラプラス)については、
セルラーモデムが内蔵されており、SIMカードを刺せば(スマホを介さずに)製品単体でも通信可能です。
また、
ディスプレイパネルが脱着可能なモデルも存在するため、
DIY装着時の作業が楽です(取付時にインパネ加工を施す必要がありません)
なお、
S8シリーズには、
Standard、Premium、Pro、MassPopularization、ULTRA、ULTRA Plus の、6種類のモデル種が存在します。
外観もよく似通っているため、製品識別自体が難しく、自分の要求性能に見合ったモデルを見つけるには、各モデルのスペックを一覧表にして、よく眺めて比較する必要があります。
S8シリーズの解説、選び方、おすすめ機種については、下記ページをご参照下さい。
● 解説ページ:ATOTO S8 徹底解説
(S8シリーズのスペック比較一覧表を掲載しています)
用語解説:CarPlayとAndroid Auto
●
ディスプレイオーディオ、Androidカーナビ(用語解説)
次ページ:
ATOTO 第2世代(GEN2)とは?
月寅次郎の本(著作)
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