GPSアンテナ取付
Androidナビ(ディスプレイオーディオ)に交換するにあたり、既存のGPSアンテナは端子形状が異なるため、使い回しができませんでした。そのため、ナビ付属のGPSアンテナを取り付けています。
このページでは、GPSアンテナの取り付け、反射板の自作と設置、ケーブルのまとめ方について、実作業の様子を解説します。
なお、既存配線で、フルセグ地デジアンテナ(4本)と、ETC2.0用のDSRC接続ケーブルは使わなくなりましたが、これらの不要配線もまとめと処理についても言及しています。
新しいGPSアンテナ(カーナビ付属品)

こちらが今回取り付けるGPSアンテナで、
ATOTO A6G209PF の付属品です。
アンテナの下にある
黒く四角いシートは、電波の反射板です。
GPS電波を反射させて受信性能を向上させる目的と、車両側から発せられるノイズ電波を遮断する目的の両方があります。
あくまでも補助的なものであって、それほど強力なものではありません。実際に比較したわけではありませんが、これを装着しなかったからといって、いきなり受信できなくなることは考えにくいです。
その下にある長方形の銀色シートは、自作の『
GPSアンテナ設置補助板・兼電波反射板(大型)』です。

この電波反射板は、チューハイ缶から切り出したアルミの薄板でできています(自作品です)
GPSアンテナは、左右のエアコンダクトの間に取り付けています。
きっちり固定せず、隙間に押し込んでいるだけではありますが、アルミ金属板が絶妙なテンションを保っているおかげで、きれいに嵌ってくれています。
ちなみに、既存のGPSアンテナは、右側のエアコンダクトの上に挟んで乗せているだけでした。
新しいGPSアンテナは、既存のものよりやや大型で厚みがあり、エアコンダクトの上には乗りませんでしたので、左右のエアコンダクトの間の隙間に設置しています。
アサヒペン
パワーテープ
25m
パワーテープ
4m
Gorilla
ダクトテープ
25m
最終的なナビ取り付け時には、この
アルミ板の表裏両面にダクトテープを貼って設置しています。
これは、
アルミ金属板の縁と車両側が、走行振動によって擦れ、異音や傷、ケーブル外装の被覆剥がれ等が生じないようにとの配慮からです。
(テープ側を金属板よりもワンサイズ大きめにして、上下から挟むように貼ることで、金属板のエッジが柔らかく接するよう配慮しています)
アンテナケーブルの向きは、前回と変えて横方向に出してみました。
(なぜ横向きを選択したかについては、後述しています)
今回使用したダクトテープは、
アサヒペンの「パワーテープ」です。
(左の画像の商品です。10m巻のシルバー色を使っています。実売価格が表示されない場合は広告ブロッカーをOFFにしてみてください)
ダクトテープは「ゴリラテープ」が有名ですが、amazonでの販売状況を見ると、長尺(25m)のものが多く、短尺(4.8m)の製品でも、「なんでそんなに高いのよ」と言いたくなる価格です。
アサヒペンのパワーテープであれば、4m巻という短尺サイズがお手頃価格で買えますので、実に便利です。
わたしはホームセンターで10m巻(中サイズ)を買ってしまいましたが、ここまでの長さは必要ありませんでした。正直「4m巻」を買えば良かったと後悔してます。

上の画像のように、ダッシュボード裏のエアコンダクトとの隙間に挿入して設置しています。
GPSアンテナは、フロントスピーカーのネット下に隠して取り付けるケースもよくあります。
アンテナケーブルはそのような場合にも対応できるよう、充分な長さが設けられています。
ただ今回の場合は、ナビの真上という極めて近距離に設置しているため、かなりの長さのケーブルが余ることになります。
これを上手に処理しなければなりません。
ケーブルの余剰分は、左右のエアコンダクトをケーブルリール代わりに使用し、巻き取るようにして収納しました。
アンテナケーブルを横出しにしたのは、巻き取り時にケーブル取り回し方向が真っ直ぐになるようにとの配慮です。
GPSアンテナ取付時の向き
エーモン
超強力両面テープ
75x60mm
ドライブレコーダー
ETCアンテナ用
GPSアンテナは、車の進行方向に向きを揃えて取り付ける必要はありません。
GPSアンテナは、位置を検出するための機器であって、『どちらの方向を向いているか?』を検出する装置ではないためです。
(この車両の場合、90度真横にして取り付けていますが、何の問題もありません)
カーナビで表示される車の進行方向(向き)は、ジャイロセンサー等による慣性情報や、位置情報の移動軌跡データを総合的に演算・決定して表示しています。
エンジン始動後、特定の方向に少し走るまでは、ナビの方位が安定しない場合がありますが、それはGPSアンテナだけでは『車の向き』までは判らないからです。
(少し古めのカーナビだと)走行開始時の車の向きをナビが認識できずに、一時的に誤った方位を示す場合があります。
狭い駐車場で切り返しやバックで向きを変えて走り出した場合は、特にこの傾向が顕著になります。
この現象も、走行して移動することで初めて、ナビが「こちらが車の前方方向なのだ」と認識しているためです。
GPSアンテナ自体は、車の向きまでは検出しませんので、取り付け時の向きに関しては、気にする必要はありません(ケーブルの取り回しがスムーズに収まるような、取り付けやすい向きに設置しましょう)
ちなみに、Googleナビに代表されるナビアプリを使った場合、(駐車位置だけでなく)駐車時の車の向きまでデータとして保存しているのか、この走行開始時に方位の混乱があまり起こらなくなってきました。
(ナビアプリも、細かい部分で着実に進化しているもようです)
GPSアンテナ取付時の水平度
3Mスコッチ
超強力両面テープ
自動車内装用
GPSアンテナの設置の際に、どれだけ厳密に水平を取るかですが、「
おおよそ水平であれば、それで良い」と思って下さい。
GPSアンテナはダッシュボード表面に設置する場合も多いと思いますが、ダッシュボード面は少し傾きがあったりするものです。
そのような場合でも、極端に傾いていなければ、それで構いません。
それでもGPSとしては、(かなりの悪条件が重ならない場合)充分に機能します。
取付時に水平が取れていなくても、ナビの作動には実質的に影響ありません。
たとえ完全に水平を取ったとしても、坂道に差しかかれば車両自体が水平でなくなります。ですのであまり気にする必要はありません。
アンテナとナビとの距離(電波遮蔽)
3Mスコッチ
両面テープ
自動車外装用
エーモン
両面テープ
前処理剤
GPSアンテナを、ナビ等の機器に極端に近づけて設置するのは推奨できません。
ナビが作動する際に電波が出るため、干渉してGPSアンテナの受信を妨げかねないからです。
(ノイズが乗ると、その分だけ正常な受信が妨げられてしまいます)
一説には「
GPSアンテナは、ナビから20cm以上離す」とも言われていますが、ナビ側が発生させる電界強度も一様ではありません。ですので、20cm離したから大丈夫とか、20cm以内だからダメといった単純なものでもありません。
(おそらく20cmというのは、そこそこ余裕をもって算定した数値だと思われます)
当車両の場合は、GPSアンテナをナビのすぐ上に設置しており、距離的には15cmほどしか離れていません。
ですが後述のように、位置的にはディーラーが設置した場所とほぼ同じです。
(プロのメカニックも、この位置で問題ないとの認識なのでしょう)
実際、この場所でも実使用には何ら影響が出ておらず、快適に使用できています。
今回は、かなり大型の自作金属反射板(遮蔽板)を併用していますが、これは万全を期してというのもありますが、設置ステー的な意味合いで使っています。
遮蔽効果を高めたい場合は、アルミではなくスチール(鉄)の方が効果が高くなります。鉛ですとより効果的です。
GPSアンテナ、受信電波の確認

アンテナ設置後は、電波が正常に受信できているか、念のため確認しておきましょう。
ナビを仮接続し、設定→端末と進んで「GPS」を表示させ、電波状況を見てみます。
上の画像は、
ATOTO A6G209PFの「モード1」での電波表示です。
ロシアのGLONASS、アメリカのGPS、ともに受信できています。
受信している衛星の数も、それぞれ9と11で、合計20衛星を受信しています(充分です)

こちらはモード2、天球にある衛星の位置を示しています。
GPS電波を受信することで、ナビ側の時計も同期され、正しい時刻が表示されるようになりました。
GPSの作動は問題ないもようです。
ケーブルの余った長さの取りまとめ
ケーブルをコイル状に小さくまとめるのは好ましくないのですが、今回のように、ある程度の大きめの巻き半径であれば、影響は無視できます。
ちなみに、小さめの径でギチギチにまとめてしまうと、ケーブルが『
コイル』となってしまい、
自己インダクタンスが上がって高周波電流の抵抗となり得ます。
スピーカーのネットワークにも、この特性が使われており、ウーファーに流れる高周波信号をカットするためにコイルが使用されています。(ちなみに、ツイーターの低周波カットには、電解コンデンサーが使われる場合が多いです)
ですので、余ったケーブルをまとめる場合は、小さな半径で巻いてまとめるのは、避けた方が良いです。
極端に気にする必要はありませんが、理想的ではないということです。
電工ドラム(コードリール)を巻いた状態で大電流機器を使用すると、コイルに起因する電気抵抗によってケーブルが発熱し、被膜が溶断、ショート、発火する場合があります。
大きめの電流の場合はこのような事故に繋がりますが、アンテナのような弱電流の場合、本来の信号レベルが低下する懸念があります。
GPSアンテナ、元々の取り付け状態
元々付いていたGPSアンテナの取り付け方法も、見ておきましょう。
(既存のナビは、新車購入時にディーラーで装着してもらいましたので、これはスバルディーラーの仕事です。「プロの仕事」というものを見てみましょう)
GPSアンテナは、右側のエアコンダクト上部とダッシューボード裏面に挟むようにして取り付けられていました。
接着や固定は無く、隙間に挿入されているのみです。
これで充分ということなのでしょう。わたしもこの配置を参考に、少し変更を加えて取り付けているだけです。
アンテナケーブルは、上の画像のように、緩く丸めて束ねてありました。
※ やたらとバカ丁寧に作業するのはプロの仕事ではありません。
必要にして充分な程度にとどめ、作業時間をかけずに短時間で処理をすませ、なおかつ不具合が決して出ないように配慮するのがプロの仕事です。(そういう意味では適切な配線処理だと思います)

GPSアンテナを引き出したところです。
アンテナ底面に貼ってある反射板は、剥がして新しいアンテナに取り付け、再利用しました。

このGPSアンテナは、ダイヤトーンサウンドナビの標準付属品です。
ATOTOナビの付属品より少しだけサイズが小さく、また、接続端子は樹脂カプラであり、ネジ止めではありません。
そのため流用ができず、一旦取り外して、ATOTOナビのGPSアンテナ(付属品)を別途取り付けることになりました。
地デジアンテナと、ETC2.0用ナビ連動DSRCケーブル
結束バンド
200本セット
15cm 100本
20cm 60本
30cm 40本
今回のナビ交換によって、フルセグ地デジアンテナ(4本)と、ETC2.0用のDSRC接続ケーブルは使わなくなりました。
この2つの機能は、はっきり言ってしまうと個人的には必要ありません。
車でテレビを見ることはまずありませんし、
ETC2.0とナビとの連動も、特段の恩恵を感じません。
高速道路を走っている時などは、このETC2.0が活用され、ナビと連動して道路情報を読み上げたりしてくれます。
とはいえこの機能、はっきり言ってしまうと、
耳障りでうるさいだけにしか感じませんでした。
緊急性のある交通情報は、道路上の電光掲示板に表示されていますし、より細かい交通情報は、(PA停車時に)iHighWayをチェックすれば良いだけです。
(iHighWayについては、
車で使っているアプリ のページで紹介しています)
なお、DSRCケーブルを外すことでETCとナビの連動ができなくなりますが、ETCは単体でも機能しますので、これまで通り高速道路のETC利用は可能です。
ETCの音声読み上げ機能が停止するため、エンジン起動のたびに音声で案内される「
ETCカードがセットされています」の機械音声も無くなりました。
これはこれで、耳障りな音声案内が一つ減りました。
ETCの稼働状態については、ETCアンテナのパイロットランプを目視で確認すれば良いだけです(上の画像の青いランプがそれです)

また、
ETC本体にも青いパイロットランプが設けられおり、こちらでも確認可能です(上の画像)
ナビとETCの連動において唯一良かったのは、高速道路を出る際、ETC通過後に料金を読み上げてくれることでしたが、この機能も、無ければ無くてもたいして困りません。
このように、
ETC2.0とナビとの連動機能は、「
あんなもん、最初から要らんかったんや!」という印象です(個人の感想ですが、本音です)
ニトムズ
自己融着テープ
日東
自己融着粘着テープ
今回のナビ交換によって使わなくなった2種類のケーブルは、
自己癒着テープでひとまとめにし、ナビ収納場所の右奥付近のステーに
結束バンドでくくりつけて固定しています。
※
自己癒着テープというのは、「のり」でくっつくのではなく、
テープ同士がお互いにくっつきあう自己融着性を持つテープです。
(主にブチルゴムでできています)
一般的なビニルテープの場合、経過劣化でのりが変質し、ベタベタになったり乾いて剥がれてくる場合があります。
(気温や紫外線の影響によって、劣化具合もさまざまです)
外観はビニールテープとよく似ていますが、熱が加わってもトロトロにならないので、高い温度にさらされがちな車内配線の結束には欠かせないテープです。
使用する際は引き伸ばしながら使ってください。(伸ばすことで融着性が発揮されます)
(左の画像の商品です。実売価格が表示されない場合は広告ブロッカーをOFFにしてみてください)
この地デジアンテナ線とDSRCケーブルについては、現状で使用しない配線ですので、全部引っ剥がしても良いのですが、そうなるといろいろと作業的に面倒ですので、このようにしています。
万全を期す場合は、接続カプラをスポンジ等で覆った方が良いのでしょうが、この状態で走行しても全く異音が出ないことは確認済みですので、この状態のままにしています。
結束バンド(タイラップ・インシュロック)について
3M
結束バンド
TRUSCO
結束バンド
ELPA
結束バンド
結束バンドは、タイラップやインシュロックとも呼ばれ、配線の取付・固定時によく使われます。
(自動車整備の場でも多用されますが、最もよく使用されるのは電気設備の現場です)
右に、『
3M』『
TRUSCO』『
ELPA(朝日電器)』などの有名どころを挙げていますが、これらはどれも定評があって信頼に足るメーカーです。
耐候性も考慮されており、
引張強度も各太さごとに表示がありますので、安心して使用可能です。
車内配線の固定であれば、極端に高い引張強度は必要とされません。
結束バンドはどれも基本的にナイロン製であり、引張強度は太さ次第です。
メーカーが違うと、同じ20cm長の結束バンドでも、幅や厚みに差がある場合があり、太いサイズの方が強度が高くなります。
ここで挙げている3メーカーの場合、20cmの製品で比較すると…、
-
3M :長さ200mm、幅4.8mm、厚み1.3mm、ループ引張強度217N
-
TRUSCO:長さ203mm、幅3.6mm、厚み1.1mm、引張強度178N、質量119g
-
ELPA :長さ200mm、幅4.5mm、厚み(記載なし)、引張強度22kg
…となっています。(材質はどれも同じナイロン66の紫外線耐候剤入りです)
最も強度が高いのは3Mですが、引張強度の限界値付近で使わない限り、大きな違いは生じません。
よほどメーカーへのこだわりがあるのでなければ、その時その時で、価格の低いものを買うのも良いでしょう。
(2022年11月の時点ではELPA、3M、TRUSCOの順で低価格となっています。実売価格は右側に表示していますが、表示されない場合は広告ブロッカーをOFFにしてみてください)
実際のところ、
車内配線の場合は紫外線耐候剤の入ってない乳白色タイプを使用しても、問題はありません。
ただ、耐候タイプでないものを、屋外で使用すると劣化が早く、すぐに切れてしまいます。
耐候性のある結束バンドであれば、屋内外を問わず使用することができますので、(どちらか一方を買うのであれば)屋外用の耐候タイプを買う方が、いろいろと使い回しが効きます。
一般家庭でのDIY用途の場合、屋内用と屋外用の2種類を用意して使い分けるのは、無駄になる場合が多いですので、屋外用を買っておけば間違いがありません。
(日の当たらない箇所でしか使用せず、業務で使うため100本買ってもすぐに使い切ってしまうような場合は、この限りではありません。カーオーディオ専門店など)
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